KDR-M14Aの電源が急に入らなくなってご来店頂きました。(急所スタッフで集まり研修しました)

KDR-M14Aを使用していて、KDR-M9Sに交換してから電源が入らなくなり、その後どちらも通電しないという症状。

お客様も2台とも通電しない状況から製品側の問題では無く、電源に問題があるのではないかと察し、ご来店頂けました。

早速電圧を測定してみると12.6V(エンジン停止中)。

しかしこの電圧は電気の流れを遮断した状態での計測になり、正しい検査方法ではありません。

テスターで計って12Vが来ていて電源が入らない、動作が不安定、その原因は負荷が掛かった時の電圧に異常がある事が原因です。

電源を探すだけでしたらこれで問題ないです。

しかし故障探求(トラブルシューティング)としては、実際の環境に合わせた測定方法が必要になります。

回路を成立させた状態での電圧は4Vです。

これは電装品に電気が流れると供給される電気の量(電流)が少ない事が原因で電圧降下が発生しています。

本来バッテリーの自然電圧が2.1V×6セル=12.6V

オルタネーターによる発電により12.6V~14.8V程まで上昇します。

ではなぜ並列接続なのに電圧が低下するのか。

これを想像するとわかりやすいです。

カスタマーサービスでも電圧降下に関する説明をさせて頂く際に、例えにする事が多いです。

バッテリーはダムと仮定できます。

ダムの水圧が14.0Vあっても水道管が細かったり、長かったり、枝分かれが多かったり、使用量が多かったりすると、水の供給が追いつかずに配管の水圧が低下します。

この現象が電圧降下となるわけです。

ダムには水がたっぷりと溜まっていて、水圧は14.0Vあります。

水道管が遮断されていれば、水道管の水圧は14.0Vを表示するでしょう。

しかし解放したとしたら水は流れていくので、水圧は低下します。

各家庭の水の使用量や配管の太さや長さが影響してくるわけです。

今回の原因はエレクトリカルタップでした。

本来、この配線の太さに対して赤のタップを使用していなければならないところに、青のタップが使用されています。

この配線よりも太い配線用なので、配線の被覆がほとんど剥けておらず、接触面積が少なすぎる事が電圧降下の原因だったのですね。

水道管で例えると水門がちょっとしか開けられていない状態でしょうか。

エレクトリカルタップは作業性が良い為、電装品の取付作業で使用されることが良くあります。

1台でも多くの作業を終わらせる事が求められる為、店舗の考え方や担当者によっては、多様するアイテムになります。

冬場などに接触不良が起こりやすかったり、接触不良などのトラブルが起こる原因になるため、私は自分のバイクや車以外ではタップ自体を使わないようにしています。

自分で配線ができる方には、簡単なのでタップがオススメです。

配線を圧着で分岐しました。

接触面積もしっかり確保して圧着していますので、これで電圧降下は心配ありません。

マイナスもボディーでショートカットしてしまいたいところですが、確実を取るためにバッテリーマイナスまで引っ張ってしまいます。

配線が完成し、カウルを戻していきます。

スズキのカウルは高校時代に改造していたジーツー(ZZ)に似ていて懐かしくなります。

アドレス125

ヤンキーが大好きな車種ですね。

整備士というとバイク、車のことなら何でもできるんでしょ。

よくそう思われますが、それぞれ得意分野があります。

人によって様々ですが、主に別けるとしたら下記の通り

板金塗装

電装関係

整備関係

カスタム

どれか一つには対応していますが、すべてに対応している人は、非常に少ないです。

あとは車種別にも得意不得意があります。

カエディアの取付サービスの様な作業では、車種はそれほど影響しません。

トラブルシューティングになると、車種専門の情報と経験が必要になるため、ディーラーが強いです。

またその中でも整備士ではわからない、より専門の業者を呼ぶ必要がある場合も多々あります。

逆にディーラーでは車種に特化しすぎていて、ディーラーの取り扱い車種以外の対応が苦手というのもアルアルですね。

特に板金塗装は別ものと考えて下さい。

車業界ですとナビ取り付けやタイヤ交換が外注作業のところも多いです。

私は転職を経験しており、板金塗装(FRP、板金、塗装)、電装関係(スターター、オルタネーター分解修理)、整備関係(様々な交換作業)どれも一定の経験があります。

カスタムは趣味です。

幅広く経験はしているので、お役に立てる事もあるかと思いますが、当然苦手な事も多いです。

何かお手伝いできる事があれば、先ずはお気軽にご相談頂けますと幸いです。